新しい祈りのかたちを提案するnanaplusの小型仏壇。
人がサイズを超越して、この中で瞑想に耽(ふけ)ることをイメージしてデザインされたのがこの瞑想-meiso-です。
我々の気持ちを整える空間は、故人を偲(しの)ぶ空間として通じていくのではないでしょうか。
引き締まった黒塗りに質感の違うシルバー、そして漆の白色(アイボリー)がアクセントとなっています。
今までにありそうでなかった漆とメタルの取り合わせが結界を表わしています。
※写真で内部に置いているのは、nanaplusのkasanei(かさねい)という手造り色ガラスの位牌です。
Title | 小型仏壇 瞑想 -meiso- |
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Date | 2014.01 |
題目 | 小型仏壇 |
技法 | 木工/漆塗り/塗装/金属(銅)曲げ加工/ニッケルメッキ |
素材 | ヒバ/MDF/漆/カシュー/銅板 |
サイズ | W200 D130 H290 mm |
発注者 | 自社開発 |
撮影 | 野上 雅彦 |
木地は、桧科のヒバと反りや割れの心配からMDFも使用しています。
塗りは、正面や天面などは蝋色仕上げしています。漆では白といってもアイボリー位の色しか出せませんが、こちらも蝋色仕上げとなっています。色漆を蝋色仕上げするのは、色むらが出やすく難しいです。
蝋色仕上げは、塗った漆を平坦に研ぎ、生漆を何度も摺リ込んで鏡面に仕上げ、磨くことで艶を出す、漆塗り最高級の技法とされています。
金具は、きしめん状の地金を同じ角度に曲げて、上下で繋ぎニッケルメッキ加工して装着しています。垂直に立てることが難しいです。
木地は、製品の土台・フレームなどを作る最初の工程です。
INOUEの木工の基本は、城下町彦根で江戸時代から続く伝統の金仏壇製造で培われた工芸品質です。
彦根仏壇の木地は、日本建築と同じく釘を使わないホゾ組みを得意としています。材料を吟味し部材の切り出しから継手や面取りに至るまで、妥協のない品質で職人がひとつひとつ手作りする木地は、何世代にも受け継がれる仏壇を支えています。
INOUEの製造ネットワークは量産が得意な他産地の木工所との繋がりもありますので、プロジェクトに適した木工で対応いたします。
漆は非常に高品質で美しい塗装です。ウルシノキの樹液を採取し、ゴミや埃を濾した精製漆が塗装に用いられます。その成分に含まれるウルシオールが空気中の水分と結合し硬化する世界最強の保護塗料のひとつです。
しかし漆は扱いが難しく、伝統技法で平滑に仕上げるには下地工程から高度な職人技が求められます。下地から上塗りまで何回も塗って研ぐ工程を繰り返して、塗り重ねます。中でも蝋色(ろいろ)仕上げは、漆の塗装面を平坦に研ぎ、生漆を摺リ込みながら何度も磨きあげ、鏡面で奥深い艶を出す漆塗り最高級の技法とされています。
漆とひとくちに言っても下地の処理から仕上げの方法までさまざまな技法が発展しています。INOUEは仏壇製造で培った漆工への深い知見から、変わり塗り・色漆から最高級の蝋色まで、適した漆塗りの技法とその職人を提案しています。
めっきは、金属や非金属(プラスチック等)の表面に他の金属を被覆(ひふく)する表面処理の一種です。
仏壇・仏具では、主に真鍮材や銅材の表面に金や銀等でめっきします。分子レベルで密着させるので、金箔押しより表面は強く、金属にはめっきの方が優れています。
なお、めっきに限らず、金属の表面加工には多種多様な技法が発展しています。INOUEでは、ご希望に添った加工方法をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。