焼箔の装飾パネル

焼箔の装飾パネル



空間を演出する色箔の建材

京都の建築設計事務所 長崎工作室が、上海で設計した化粧品メーカーの新築工事にて、和の要素を取り入れた空間を演出することを意図されており、相談を受けて作成した建材です。事務所やファクトリーツアーのメイン通路になるエレベーターホールなど、シックな空間の中に華やかさが欲しいとのことでしたので、金沢の焼箔・色箔3色を提案させていただきました。
施工は現地の工務店で行うとのことから、施工方法を相談しながら仕様と素材を決めています。施工性と運搬性、強度を考慮し、アクリルに箔押しし、その裏から和紙で覆い、塗装で固めるようにして、海外の施工や運搬でも間違いが起こらないように作成しました。
内装のワンポイントとして使用されると豪華さがその空間に出ます。最適な素材やサイズ・箔の色目などから打合せを進めさせていただきます。

Title焼箔の装飾パネル
Date2020.11
題目パネル/建材
技法箔押し、塗装
素材焼箔・色箔、アクリル、和紙、ラッカー
発注者長崎工作室
デザイン長崎 和平(長崎工作室)
コーディネート乾陽亮

統合した伝統工芸の素材と技法

アクリルは、キズに強いハードコートタイプを使用しています。
アクリルに箔を押す(貼る)ため、接着力がより強い溶剤を使用しています。さらに、その上からコーティングをかけ、さらに和紙でその表面を覆い、箔を保護しています。
よって箔は、アクリル越しに見ることになります。
INOUEでは、アクリルやプラスチックなどの現代素材にも箔を押す技術を持っています。

  1. 箔押し(箔貼り・箔置き)

    箔押しとは、金箔や銀箔、白金箔で物品を覆う装飾技法です。彦根では箔押しと言いますが、他の地域では箔貼り・箔置きとも呼ぶそうです。
    金箔は、金の延びる性質を利用して厚さ約0.0001ミリメートル(1ミクロン)まで均一に延ばしたもので、ここまで薄く均一に延ばせる技術は日本だけにしかありません。鼻息で飛んでいく薄さです。
    ひとくちに金箔といっても、純度が高いものから銀を合金して色味を調整したものまで、さまざまな種類があります。また、箔の押し方にも箔の光沢を出す技法や上品に優しい光沢を出す技法などがあります。

    INOUEでは、高い技術が必要な広い大きな板の箔押しから、彫刻などの曲面全面の箔押しまで、熟練した職人による幅の広い箔押し技法に対応しています。また、今までは難しいとされてき現代素材であるアクリル樹脂やガラスへの箔押しにもお応えしています。

  2. 塗装(カシュー・ウレタンなど)

    INOUEでは、伝統工芸の高度な天然漆本堅地をはじめ、同じ漆科のカシュー(和名:勾玉の木)から採れる天然樹脂のカシュー塗料や、合成樹脂のウレタン塗料まで、あらゆる種類の塗装方法を可能としています。
    サイズもコーヒーカップなどの小さなものから建材に使用する大きなものまで幅広く塗装可能です。
    仏壇工芸の要とも言える塗装の品質は、常に厳しい目をもって吟味しています。
    INOUEは、技術力を持った職人のネットワークを有し、あらゆる塗装のご要望にお応えします。

  3. アクリル

    アクリル樹脂は合成樹脂の中でも特に透明度が高く、着色も容易でガラスと違い割れにくい性質を持っています。分厚いものを用いると高級感もあるため、今後の工芸品との組み合わせが楽しみな素材です。
    漆などを塗ることは、密着度の問題があり難しかったのですが、最近塗ることができるようになりました。透明なアクリル越しに裏側の色を見ることができる面白さがあります。

    しかし、表面は傷つきやすく、日光に当てると黄変する性質もあります。INOUEでは、アクリル樹脂を取り入れる際にはその性質を理解して適材適所の使い方をご提案しています。